物置小屋

いろいろ置いてく。

冷たい紅茶

突如
道端で
鋼鉄の槌が
振り下ろされ
私の頭蓋骨を砕いた
脳漿は飛び散り
眼球は飛びだしてしまった
私は
よろめきながらも
自宅へ戻り
遮光カーテンの隙間から
光の漏れる
薄暗い部屋の中で
座椅子に座り
レバーを引いて
背もたれを倒す
しばらくして
立ち上がり
頭にタオルをまいて
冷蔵庫を開けた
そこには
透明のポットがあった
冷えた紅茶の入った
透明のポットがあった
細長いグラスに
紅茶を注ぎ
また座椅子に戻る
レバーを引いて
今度は背もたれを縦に戻した
机の上に置いた
紅茶をとって
ぐいっと飲み干した
紅茶の苦味と冷たさが
私の喉に
心地よくて
全ての痛みが和らいだ

夜の猫のくらし

夜は今やとてもあかるくなった。

 

それでも未だそこらは暗い。

 

窓の外を眺めていると

 

ふと猫の歩く姿が見える。

 

彼はくつろいでゆっくりと歩いている。

 

そのまま誰かの屋敷のなかの駐車スペースにいそいそと入りこみ、

 

おもむろに仰向けになった。

 

彼は、あるいは彼女は、

 

夜の人の息の寝静まるなかで、

 

ひとときの自由を謳歌しているのだ。

 

また朝が来れば、

 

こうしてここで仰向けになることはできない。

 

夜が来て、朝が来て、また夜が来て、

 

そうして月日は経ち

 

いつかその生は終わる。

 

そんな夜の猫の一幕を私はただじっと眺めている。

 

無限のアクティビティについて

今やコンテンツは無限だ

ここのところ定額動画配信サイトに入り浸っている
ここのところというかもう二年くらいどっぷりはまっている
バンダイチャンネル、U-NEXT、Netflix、解約手続きが面倒なので、時期をみて時間が充分にあるときやみたい作品があるときにあわせてプリペイドカード等で適当に加入退会をくりかえしている
とんでもない量のとても消費しきれない映像コンテンツが月額1000円程度で見放題だ
私が子供の時代には考えられないことだ
いや子供時代もテレビは見放題なのだが見れるコンテンツ選択の自由度が圧倒的に違う
利便性の面からいっても動画配信サイトになれてしまうと
そのあまりの便利さに
もはやレンタル屋さんにいってディスクメディアを借りてきてプレーヤーにセットして見終わったら返却しにいくなどというまどろっこしい手続きなどというものには戻れない
なんなら定額範囲外の作品も若干高くても有料でレンタルするくらいだ
驚くべき低コストで無限に映像作品が消費できる
なんという時代だ

映像をみるという無限のアクティビティ

だが考えてみれば利便性が上がっただけで
もともと多少のコストさえかければ
映像鑑賞も、音楽を聴くことも、読書をすることも死ぬまでは無限のアクティビティなのだ
さらにいえば
働くことも歩くことも寝ることも空を眺め続けることも無限のアクティビティなのだ
死ぬまでは

人生の時間は有限だが無限にやるべきことはある

何かを苦にして自殺なんてしていられない

ならば下らない悩みを苦にしてしまうくらいなら
なんでもいいから
無限のアクティビティに没頭しよう

つい先日、インターネットさえあれば寂しくないですよねとリアルで言ったら
その考え方は寂しいですよ!と言われたけれども

無限のアクティビティさえあれば
断じて寂しくはない!

日曜日のかけそば一杯300円

駅近くの横丁にある、

厨房とその回りを囲むカウンター席だけの蕎麦屋にかけそばを食べにいった。
食べてる途中でおじさんが入店してきて、
ロングの缶ビールと揚げさんだけを注文し、
缶ビールをコップに注いで一口飲むと、
「ここで飲むビールが一番うまい」とカウンターごしにおばさんに向かって言っていた。
常連さんなんだろう。
しばらくすると、小皿のなかの五枚ほどあった揚げさんを一枚だけ残して缶ビールはほとんど残して、さっと出ていった。
厨房におばさんは二人いて、
一人は缶ビールの重いのを確認して「あら大分残して」みたようなことをいい、
もう一人は「いつもなのよ」といっていた。

 

そのおじさんが入店してから退店するまでの短い間に、別のおじさん客が、すでに何か一度食べ終わった後だったようだが、厨房のおばさんに、お持ち帰りなのかその場でまた食べるのかわからなかったが(最後まで見届けずに自身も退店したため)、口頭で天ぷらを何種類か注文しようとして数を伝えたり値段を聞いていたりして、おばさんも答えていたのだが、話の終わりには券売機でお願いしますと伝えていた。

そう言われておじさん(おじいさんと言ってもいい)は券売機に向かうのだった。

 

駅近くの横丁の蕎麦屋での一景であった。

 

(感想はとくになし。かけそばはうまかった。)

おれと一緒にアイスランドにいかないか

おれと一緒にアイスランドいかいか

アイスランド薄氷の上をおそるおそる歩こう

青い光しか反射しないアイスケイブ(氷の洞窟)の

なかで寝転がろう

アイスランドの寒さと美しさのただなかに行けば

おれらが今この地にいることで否応なく受け取ってしま

頭のなかの幾多のノイズはきれいさっぱりと消え失せちまうだろう

追記:防寒具を装備すれば、寒いのが嫌いなあなた大丈夫

身体は暖かく、頬には冷たい風があたる。それは心地よいだろう。

ベーコンインザスカイ

西の空をふとみると何か巨大なものみえるではないか

なんだあれは

あれはベーコン

巨大なベーコン

幾重にも重なった正真正銘のベーコン

鈍い光を放つ白い脂の入り混じった薄赤い肉の塊

それがベーコン

それが飛んでいる

なぜだか太陽からの熱が異常なほど増して

空中でじゅうじゅうとこんがりと端から焼け始めている

地上にベーコン肉汁が降り注いでいく

ベーコン イン ザ スカイ